ビューティコラム

VCローション開発物語

DATE:2015.01.08

「ビタミンC誘導体が入った化粧水を作って欲しいんだけど」
その一言からすべては始りました。

それは10年以上前の話。
当時、化粧品OEMメーカーの研究開発者だった私は上司からそう言われて、ビタミンC誘導体を配合した化粧水を作り始めました。
最初は、誰がどんなふうに使うのか全く知りませんでした。まさに指示されるがまま、普通の化粧品と同じように作っていました。ただ、普通の化粧品にしてはビタミンCの配合量が5%と、ちょっと多いなと言う印象でした。

私がこのビタミンC化粧水の処方担当者となってしばらくして、開発依頼者の方と話す機会があり、これがニキビケア用の化粧水として使用されていることを初めて知りました。さらには皮膚科医院のニキビ治療にも利用されていることを知って、ちょっと驚きをおぼえました。
どうしてかと言いますと、「化粧品」というのは薬事法によって定められている通り「人の身体を清潔にし、美化し、(中略)人体に対する作用が緩和なも」となっていて、はっきり言ってしまえば「あまり効果のないもの」というのが前提で作られているものだったのです。過去形で書きましたが、今現在でも多くの化粧品はそうです。
ですから化粧品研究者と言うのは、肌トラブルを治すために日夜処方を研究しているにもかかわらず、どんなに良いものができても「効きます」とは表立って言えない、ちょっと不思議な立場にあります。
今では薬事法が改正されて、大部分の成分は自由に配合して良いことになり、「効きます」とは言えないけれど、有効性のある化粧品が販売されるようになりましたが、2002年の薬事法改正前までは、一部の成分に対しては化粧品への配合上限が設定されていて、そこにビタミンC誘導体もリストアップされていました。

ビタミンC誘導体の配合上限は3%と決められていて、それは美白用医薬部外品の濃度でもありましたが、そのくらいの濃度ではあまり効果は期待できません。結局は作用が緩慢なものでしかなかったのです。
そのような環境でしたから、ビタミンC誘導体化粧水は、私の意識の中では美白では多少効果があるかな程度で、どちらかと言いますとテクスチャー(使用感)重視、美麗性重視で開発していました。
これが、美白用ではなくてニキビ治療に使われていると言うのは全然ピンと来ないものでした。
しかし、ビタミンC誘導体化粧水は予想に反して売れていきます。毎月のように工場に注文が入ってきます。
なんで売れるんだろう? テクスチャーもあまり良くないし、乾燥するしと、化粧品の常識から言えば売れるはずはないのです。その疑問からVCローションの本当の研究は始りました。

サンプルを大量に作成し、会社の人や友人など、特にニキビが出ている人に配り、ニキビに効くかどうかのデータを集め、文献をあたり、ビタミンCの性質について勉強していきました。
丁度、ニキビ治療で有名な池野先生の著書「ようこそ私のニキビクリニックへ」に出会ったのもその頃です。当時、立場的に間接的にはお話を聞けても、なかなか皮膚科の先生と直接会う機会のない私には非常に参考になりました。
サンプルとして配ったVCローションを実際に使ってもらった人たちにアンケートをとると、「ニキビが治った」、「治るのが早くなった」、「できにくくなった」等、有意に改善がみられる傾向にありました。中には3日でニキビが治った、傷の治りも早かったと驚くような結果もありました。(注:傷口にVCローションをつけることは推奨していません)
VCローションを作り出してしばらく経ち、顧客である皮膚科医向けに研究を重ねていました。そんな時にふと、「このVCローションは皮膚科医でのニキビ治療に使われたり、医院での販売に限られている。せっかくこんなにニキビに効く良い化粧品があるのだから、もっと多くの人に使ってもらえたら良いのではないだろうか」と思うようになりました。
時期的に規制緩和によって、有効成分を高濃度配合した化粧品を販売する事こと自体は問題ではなくなっていました。

しかし、私は化粧品の研究開発をやってきて化粧品を作る事は専門ですが、化粧品を売った事はありません。
販売すると言っても店舗を構えるような資金力もありませんし、お店を出してもすぐにお客様が押しかけるとは到底思えません。どうしようかと思案しているところで思いついたのがインターネットの通信販売でした。その頃はインターネットで商品を購入すると言う、いわゆるネットショッピングが一般に認知されてきた時期です。
日本にある皮膚科全体からみてもVCローションを扱っている皮膚科は圧倒的に少ないわけですから、VCローションを扱っている皮膚科を探すこと自体難しいですし、たとえ見つけたとしても遠方にあれば購入も大変です。
化粧品販売未経験の私が全国のニキビに悩む方が使えるようになるのであればやってみよう、と始めたのがこの「セラ コスメティックス」です。
今ではMDピーリングキットなどのピーリング製剤(こちらもVCローションと平行して皮膚科向けに開発していました)なども揃えたニキビケアブランドの「セラ」となっていますが、最初は「VCローション」たった1品から始ったのでした。

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